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バッチプラント材料のトラブルがあったら最初に酸を疑おう

酸のトラブル 材料
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化学プラントの機電系エンジニアの仕事の1つに、設備トラブルの原因解析があります。

専門家とは言い切れない機電系エンジニアが、1人で判断できるわけではありません。

いろいろな要素を考える必要があります。

この中でも、最初に酸をとにかく疑いましょう、というのが言いたいこと。

検討する要素が多ければ多いほど、見失いがちです。

酸性液体は金属を腐食させる

酸性の液体は金属を腐食させます。

漫画とかでありがちなドロドロの液体が、何でも溶かすイメージ。

あれが酸そのものと思っていいでしょう。

鉄は簡単に腐食させますが、ステンレスでも酸性液体で持たないケースはいっぱいあります。

だからこそ、ガラスやフッ素という耐酸の材質が開発されています。

これが材質の王道パターン。

鉄 → ステンレス → ガラス というパターンが基本であることは、常に意識しておきたいことです。

酸を使った反応が多いため、酸性液体自体が話題になりやすいです。

酸性ガスは透過しやすい

酸性の液体だけでなく、ガスも注意が必要です。

というのも、酸性のガスはガスケットなどから透過しやすいから。

全部が全部、というわけではありません。

塩素などハロゲン系が特に疑わしいでしょう。

反応で酸を使うものが多いので、酸性ガスが発生するのはほぼ当然のこと。

ガスが出ないということ自体が珍しい話であり、何かしらのガスが出ると思っていた方が良いです。

このガスがガスケットから透過しやすいとなると、配管やバルブから漏れてきます。

だから、化学プラントは腐食が進みやすいと言われています。

酸性ガスは凝縮すると危険

酸性ガスは凝縮します。

ガスケットを透過して、大気中に拡散したガスは、湿気や雨などの影響を受けて凝縮します。

そうすると酸性液体のできあがり。

プロセス中にある酸性液体に対して耐食性がある材質を選ぶのが基本です。

だからこそ、外部の材質は忘れ去られやすいです。

ガラスライニング配管は、内部が耐食性のあるガラスで外部は耐食性の無い鉄ですからね。

プロセス中にある酸性液体なら、滞留時間が短くすぐに洗浄されるでしょうが、外部に滞留した酸性液体は長期間残り続ける可能性があります。

そういう場所から腐食していきます。

酸以外でトラブルになるもの

酸はプラント設備を腐食させるトラブルの王道です。

この原則を忘れてしまうのは、他のトラブルが結構あるからです。

いくつか例を紹介しましょう。

アルカリ

アルカリで腐食する例はあります。

典型例がガラス。

反応自体は酸で行っていても、酸が強いと腐食するためにアルカリを添加したりします。

アルカリが局所的に濃い場所が設備内で発生すると、腐食します。

こういう例を経験しすぎると、アルカリ>酸 という危険度でインプットされてしまい、酸が相対的に危なくないと思ってしまいます。

どっちも怖いのですが、先に酸だと私は思っています。

スラリー

スラリーにより腐食する例は後を絶ちません。

粉体で物理的に削り取るイメージです。

腐食で材料がダメージを追うのと、摩耗で材料が削れるのと、外面を見ていると素人判断ができない場合があります。

スラリーによるトラブルは化学プラントでは特に多いので、材料のトラブル=スラリー と最初に考えてしまう人が居てもおかしくありません。

静電気

静電気によるトラブルも、ガラスでは意外と起きます。

話題になってしまうと対策が取りにくいのが静電気。

そのせいか、ガラスのトラブル=静電気 と思ってしまう人が出てもおかしくありません。

温度

温度によって腐食が進むのは当然です。

ただ、トラブルになるかというと少し疑問。

温度による腐食は、すぐに起こるわけではないので、傾向監視がしやすいです。

ちゃんと予め実験して、その結果を基に交換周期を決めていきます。

交換頻度を下げたいから材料で何かできないか検討をしていくうちに、温度が材料のトラブルの天敵だと錯覚してしまう例はあります。

プロセスによっては温度が最優先の検討事項であるかもしれませんが、特にバッチでは高温のプロセスがないために酸が最初です。

専門家に検討を依頼する時の注意

材料のトラブルをメーカーなど専門家に依頼する時は、ぜひ注意しましょう。

情報を出し過ぎない

メーカーなどに情報を出しすぎてはいけません。

機密情報を漏洩させるからです。

ちゃんと教育されるので、意図的に出す人は少ないと思います。

関連情報を整理しておく

情報を出しすぎないことを意識すると、何も情報を出してはいけないと錯覚します。

その結果、メーカーに現物を見てもらい、その外観の様子だけですべてを判定してもらおうという無茶な要求を出してしまうことが起こりえます。

そんな専門家がいたら、社員として雇いたい・・・。

普通は分かりません。

サンプルを持ち帰って検討できればいいのですが、実設備だから無理。

そうなると、ユーザーが持っている情報をいくつか提示する必要があります。

設備が壊れたときに、酸性の液体を扱っている酸性のガスが出るなどの情報や周囲の設備で酸による腐食がある、などの情報です。

定性的な情報ですが関連情報として出せます。

そこをサボって、メーカーにとにかく見に来てほしいという依頼をしても、アタリを付けることができない状況ではメーカーも動きにくいです。

そのかじ取りをするのは、情報を持っているユーザー側です。

早期解決のためにも、情報の出しすぎ・出さなさすぎのバランスはしっかりとりましょう。

参考

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最後に

バッチプラントの材料トラブルではまずは酸を疑いましょう。

酸性液体の反応が多く、金属を腐食させる原因となります。

酸性ガスも透過や凝縮によりトラブルを起こします。

アルカリ・スラリーなどの他の原因が目立つので忘れがちですが、王道は酸です。

化学プラントの設計・保全・運転などの悩みや疑問・質問などご自由にコメント欄に投稿してください。(コメント欄はこの記事の最下部です。)

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