機械の断面図を理解するには色を塗るのが早いことは、私が初心者のころに実感しましたが、実際に色を塗ってチェックしている人は驚くほど少ないです。それで理解した気になっていても、しっかり理解できていないと、自分一人で仕事を進めたり他の人に教えるときに理解不足を実感しかねません。
本記事では、図面の色塗りの例として、熱交換器の外形を理解するための色塗りをしてみましょう。
この記事は、断面図シリーズの一部です。
断面図の読み方|色塗りで機械構造を理解するシンプルな方法
断面図の読み方2|色塗りで理解するノズル図面
熱交換器のイメージ図
まずは今回取り上げる横型の多管式熱交換器のイメージをGrokで書いてみました。それっぽく見えなくもないのがすごいですね。

初心者が多管式熱交換器のイメージをするには、大事なチューブ部がある程度描かれていることがポイントです。多管式熱交換器という以上、チューブが熱交換の肝となる部分ですので。
実際の図面(初期状態)
熱交換器の図面の中で外形図を見ると、おそらく下の図のような書き方をしていると思います。

この図で構造を理解できればいいのですが、初心者のころは悩むはずです。私も見慣れた設備図面だと問題なくても、新しい機械を見たらやはり悩むものです。こんな時こそ図面への色塗りの出番です。
分かりやすい部分から色塗り(本体フランジ)
色塗りをする基本は分かりやすい部分からです。この図の場合、分かりやすい部分はどこでしょうか?

今回は本体フランジを分かりやすい部分として取り上げます。フランジは2つの部品を繋ぐための接続部分。ここを境に部品が分かれるはず。フランジの基本をもとに色塗りをします。
境目を示すためにも、隣り合うフランジは色を変えておきましょう。
フランジを塗った後は、そこから分かる部分を拡張していきます。今回はチャンネルカバーを例にしましょう。

フランジは部品を繋ぐもの、フランジに接する部分は部品の境界部を示しているはず。この基本から、フランジ部に接する線を色を塗っていきましょう。同じように、シェル側も塗ってみましょう。

この辺りまで塗ると、チューブ側とシェル側のノズルが明確に分かれるので、熱交換の基本である2つの流体の流れがイメージできるようになるでしょう。
チューブ側のノズルが左に1個、右に2個であるから、何かしらの相変化が起こることを想定した熱交換器であることが予想されます。
細かい部分を考える
色塗りの最後の仕上げです。チューブ部の色塗りです。色塗りをしないと多数の線が並んでいるだけの部分なので、チューブが張り巡らされた部品であることが一見分かりにくいです。
境界を塗ってしまえば、その隣の白いブロックは固体部ではなく空洞部であることが推定できます。空洞部の隣が固体部だと思って、固体部の色を塗っていきましょう。空洞-個体-空洞という組み合わせのはずです。

色塗りが正しくできているかはある程度塗ってみると分かります。このように完成してしまったら、チューブが明確に理解できるでしょう。チューブがはっきりわかれば、チューブ側の液体の流れとシェル側の液体の流れがイメージできて、チューブを境に熱交換ができる設備であることを理解しやすくなると思います。
図面によってはシェルの板厚を明確に書いているものもあります。その程度の詳細図であれば、シェルの板厚やチューブの板厚も明確に書く場合もありますが、オンスケールに近い形で表現されるので、迷っても考え直すことができるかもしれません。
参考
最後に
図面の色塗りは、単なる作業ではありません。
- 部品の境界を明確にする
- 固体と空間を区別する
- 流体の流れを可視化する
このプロセスを通じて、構造理解が深まります。
特に多管式熱交換器のような装置では、チューブとシェルの関係を明確に理解できるかどうかが、設計・施工・保全すべての基礎になります。「理解したつもり」で終わらせないために。ぜひ一度、実際に図面へ色を塗ってみてください。理解の深さがまったく変わるはずです。
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【著者:ねおにーーと】
化学プラントで20年以上、設計→製造→保全→企画まで一気通貫で経験したユーザー側エンジニア。 バッチプラントの設備・運転・トラブル対応を中心に、現場で本当に役立つ知識を発信しています。 → 詳しいプロフィールはこちら
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