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化学プラントでのアスベスト撤去|ユーザー側で気をつけるべきこと

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アスベスト撤去 工事
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 アスベストの話題がたびたび話題になっています。化学プラントでも昔はアスベスト付きの設備があり、古くなったプラントを撤去する際に大きな問題になっています。特に配管は交換などの機会が多く、アスベスト付き配管でないかに気を配らないといけません。
 本記事では、化学プラントのアスベスト付き設備を取り外すときの、ユーザー側で注意すべきことをまとめました。

 アスベストの取り扱いは有資格者である必要があり、作業方案や申請などは実際の工事会社が手配してくれます。ユーザー側としては発注時に資格有無のチェックなど大事なことはありますが、この記事ではもう少し現場目線での対応を中心にしています。

アスベスト有無の調査

 化学プラントで具体的にどこにアスベストが使われているかを調査します。例えば、以下のような場所がターゲットになります。

 ・配管の断熱
 ・設備の断熱
 ・建物

この中でも、配管の断熱は配管そのものの撤去や更新の機会がありえるので、最も頻度が高いです。設備の断熱は配管よりももっと大きな問題になりますし、建物はそれよりも問題になります。

 プラントの運営というオーナーズエンジニア側の立場に立てば、設備や建物といったアスベストリスクの高い箇所はすでに特定しておかないといけません。配管は数も多いので、ある程度までは把握できたとしても、全容を把握するのはかなり大変で非現実的でしょう。

アスベスト撤去の施工法

 アスベスト撤去の機会が相対的に多い配管について考え行きましょう。

作業環境

 アスベストを含む配管を撤去する場合には、作業環境を整備する必要があります。特に重要なのは、作業者の保護。保護具を付ける必要があります。下のような仮設のブースを付けることになります。

アスベスト保管

 仮設ブース内で保護具を付け、現場に向かいます。ここは何の問題も無いでしょう。問題は現場から帰ってくる側。アスベスト付き配管を持って帰ってくるので、それを隔離する場所が必要です。保護具もアスベストで汚染されているので、脱衣をする必要があります。

 仮設ブースの構造にもよりますが、作業員をアスベストから完全に隔離するのは限界があります。保護具の脱衣時には作業員にアスベストが付着する可能性はあります。化学プラントの作業員が実施するようなシャワーなどで洗い落とすことも考えれますが、シャワー設備を仮設したりプラント現場を使用したりと工夫が必要になります。

 リスクを回避するためにも仮設ブースには排気ファンを設けますが、それでも限界があります。ファンの出口から大気に開放してしまうと問題なので、水洗設備などでアスベスト飛散を防ぎましょう。

 撤去が終わって仮設ブースを取り外すときも考えないといけませんね。考え出すとキリがないから止めようではなく、何も対策をしないよりはリスクが下がっていると認識する方が健全です。

周囲への周知

 アスベスト配管を撤去する工程が決まれば、周囲への周知が必要です。

 当該プラントの管理者やオペレータはもちろん、同じプラントで他の工事があればその工事会社や作業員へも連絡が必要です。プラントには工事以外にも点検などで立ち入る人もいますし、監査や見学なども人もいます。こういった人にも前もって連絡しておく必要があります。周辺プラントにも周知が必要です。

 プラント外へアスベストの飛散が起きないようにすることはもちろんですが、起きるかも知れないという連絡をしておくことで周りの人に迷惑を掛けないことが大事ですね。

作業方法

 具体的にアスベスト配管を外すときも注意が必要です。現場でアスベストの飛散を最小限にするには、アスベスト付きのフランジカバーだけを外します。配管側の断熱はプラントから取り出して安全な場所で撤去します。

アスベストカバー

 ここでカバーを外す際はビニール袋などで、アスベストの飛散を抑えると良いでしょう。グローブボックスタイプが理想です。更衣の話と同じで完全に飛散をゼロにすることはできないことは注意しましょう。フランジカバーにだけ対策を取っても、外すその際に配管側のアスベストが若干漏れます。作業しながら水を掛けて洗い落とすという方法も考えれますが、配管側の断熱が脱落する可能性がありますので注意しましょう。

 配管側をアスベスト付き断熱が残っている状態で、プラント外部に持ち出す際は末端部をビニール袋などで覆った状態が好ましいです。ビニール袋も1重ではなく2重が好ましいです。この辺りは、プロセス配管の撤去と考え方が似ています。

長期的な撤去計画

 アスベスト付き設備を撤去するには、長期的な計画が必要です。そもそもの数量の把握ができても、工事のための費用を確保するのが難しく、すぐに100%の対応はできないでしょう。リスクの大小関係を把握して、優先度が高い所から撤去していきます。すぐに撤去できない部分は、脱落などが起きないように応急補修をしましょう。

 長期的には、アスベスト撤去費用が高騰していきますので、どれくらいのエスカレーションになるかの仮定をおいて、工場内で認識統一する作業も大事です。

参考

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最後に

アスベスト付き設備や配管の撤去は、作業員だけでなく、プラント全体に影響する大きなリスクを伴います。
ユーザー側で大切なのは、

  • 事前の調査でリスク箇所を把握すること
  • 施工時の作業環境と周囲への周知を徹底すること
  • 長期的な撤去計画を立て、優先順位を明確にすること

これらを丁寧に進めることで、安全を確保しながらアスベストリスクを最小限に抑えることができます。

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