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バッチプラントのSDM(定期修繕)時期はどう決まる?|需給・人員・工事動員から考える実務

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 化学プラントの生産技術の仕事をしていると、天から降ってくるSDMの時期について疑問に思うことがあります。SDMというと連続プラントの数年に1回の工事をイメージしますが、バッチプラントでは毎年決まった時期に小規模の工事をすることが多いです。柔軟性があるからこそ、いつの時期にするかでエンジニアとしては影響が出てしまいます。

 「SDMの時期ってどうやって決めているのだろう?」

 GW・盆・年末年始などの考慮もされずに決まってしまうSDM。SDMの日数だけ決めて長期連休を考えない工事計画。この背景には生産稼働を考慮する企画部門の判断があります。最近では、ようやくさまざまなことを考慮した計画も考えられ始めていますが、基本的な判断はかなりシンプルです。

 この記事では、バッチプラントのSDMの時期の決め方の基本を解説します。

需給バランス

 バッチプラントのSDMを決める最大の要因は需給バランスです。バッチプラントに限らず多くの製造業が同じ考え方です。
 ・需要量(販売予想)
 ・供給量(生産可能量)
 ・在庫量
これらのバランスを見て、年間の生産量を決めます。

 私がいる工場では、毎年各プラントのSDM時期を調整しますが、工事の数か月前になっても微調整が発生します。これは需要と在庫の調整をギリギリまで実施したい、という営業の想いがあります。ではなぜギリギリまで分からないかというと、情報が集まりにくいからですね。国内だけならまだしも海外展開をするとこういうことになります。

 在庫をとにかく減らしたいためにSDMの時期がなかなか決められず、それが工事を計画する生産技術や工事会社の方への影響となります。

 切替生産のバッチプラントでは、生産品目の順番を変えることは稼働調整では良く行われます。在庫との兼ね合いを考えると1つの生産品目を1年のうちに2回に分けることも珍しくありません。個人的には切替洗浄の頻度が上がるほど、トラブルのリスクが高くなり稼働日数も下がるので、分割生産はしたくはありません。

生産プロセスに都合の悪い季節

 生産品目によっては夏に生産できない・冬に生産できないという品目があります。融解したり固化したりという物理化学的な物性以外にも、物性の安全面などへの配慮もあります。

 生産品目の特性として稼働調整時には当然考慮されているので、SDMの時期を決めるための障害という位置づけでここでは捉えます。例えばGWに休みたいと考える製造や生産技術の立場があっても、夏は稼働できないので生産日数を確保するためにはGWに製造しないといけない、という形として現れます。

 会社や工場によっても変わりますが、生産品目の制約条件が多いとSDMとしては融通が利かなくなります。

オペレータの人数

 複数のプラントを抱える工場では、オペレータの人数がSDMの時期を決める要因になりえます。連続プラントだと少し考えにくい事象かもしれません。

 工場内で確保しているオペレータの人数に対して、プラントで必要な運転人員が足りない場合、別プラントからの応援で対応することを考えます。ここで工場内の全プラントが一斉稼働したり一斉停止をすると、オペレータの配置が難しくなります。

 各プラントで必要なオペレータを固定して、技術を蓄積したオペレータによる高品質な運転をしたいのですが、人事の問題やプラントのスクラップビルドなどの関係でオペレータの人数調整がしにくいのが最近の傾向です。

 このため、AプラントでSDMがあるからこの時期はBプラントは稼働しないといけない、というような稼働調整を行うことになりえます。制約条件が増えるほどSDMの時期が調整しにくくなるという点で、製造や生産技術にとっては不利な事象です。

補修可能時期

 SDMである設備を補修しようとして、その時期が決まってしまっている場合があります。これは生産技術側にとっては有利な情報です。

 運転中に設備が故障して、修理のための情報を整理した生産技術が必要な工期や納期を企画に伝えます。この情報をもとに稼働計画の調整が入りSDMの時期が決まるという話です。

 会社によっては企画の力が強い(工事のことを知らない)場合、生産技術から提案された工期や納期を何とかできないかと打診している場合があります。昨今では、少子高齢化や価格高騰などのさまざまな社会的要因があるので、企画から打診されても拒否しやすい環境になっています。

 生産技術としては自分で考えたスケジュールが工事に少しでも反映されるとやりやすいですね。設備が壊れて補修しないといけないという時点で、生産技術は辛い思いをしているのですが・・・。

工事動員

 工事動員はバッチプラントのSDMの時期を左右することがあります。連続プラントのようなSDMで一斉に工事作業者を確保しない代わりに、県内の作業者で安定的にSDMをしたいと思うのがバッチプラント。

 オペレータの人数による稼働調整を行うのに近い感覚で工事動員の問題で稼働調整をします。オペレータと違って供給可能な工事作業者が、時々刻々変わるので厳密な調整は難しいです。

 これくらいのプラント数のSDMなら可能だけどこれ以上は厳しいという定性的な情報くらいから初めて、少しずつ精度を上げていく形です。

最後に

 バッチプラントのSDM時期に大きな影響を与えるのが、需給バランスと在庫です。さらに、生産品目による季節的な制約、オペレータの人数、補修に必要な工期や部品納期、そして工事作業者の動員状況など、さまざまな条件が重なります。

 そのため、生産技術から見るともっと都合の良い時期にSDMをしたいと思っていても、工場全体では別の時期を選ばざるを得ないことがあります。逆に、設備故障などをきっかけとして、生産技術側から必要な工期や補修時期を提示し、それがSDM計画に反映されることもあります。

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 この記事の内容を、あなたの職場・キャリアに合わせて整理したい方に技術・キャリア相談を行っています。海外プラント、製造管理、組織の病理、キャリア停滞など、あなたの状況に合わせて具体的にアドバイスします
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【著者:ねおにーーと】

化学プラントで20年以上、設計→製造→保全→企画まで一気通貫で経験したユーザー側エンジニア。 バッチプラントの設備・運転・トラブル対応を中心に、現場で本当に役立つ知識を発信しています。 → 詳しいプロフィールはこちら

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