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なぜ計装トラブルは生産停止を招くのか?自動弁・温度計・流量計・重量計から見る停止メカニズム

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計装トラブル 運転
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 化学プラントの運転は自動運転が進んでおり、多数の計装設備をライン中に配置しています。使用していくうちに劣化していきますが、放置しているといつかは生産停止に繋がります。
 本記事では、計装設備のトラブルが生産停止に繋がる理由を、プラント初心者向けに解説します。

自動弁が開かないで生産数量減少

 計装トラブルの大半が自動弁です。これは設備点数の比率から考えると当然。化学プラントの計装設備で最も数が多いのが自動弁だからです。

 自動弁が故障すると、弁の開閉ができなくなります。基本的には閉まったまま開かないという状態になります。たいていの自動弁はエアーレスシャットで空気が供給されないと弁が閉まる方向に動きます。

 自動弁が何らかの形で故障しても、強制的に開けることは可能ですが、当然時間が掛かります。省力化のために現地で人が手動弁を操作しなくてもいいように自動弁を付けたはずなのに、使えないとなると人の作業が発生してしまいます。これは、製造にかかる工数が増えることを意味して、サイクルタイムが伸びる方向となります。少しの自動弁が故障した程度なら影響がなくても、多くの自動弁が故障すると生産数量を下げざるを得なくなるでしょう

温度計故障で安全運転ができない

 計装設備の中でも温度計は、化学プラントでは重要です。火災爆発などの事故を引き起こしかねない化学プラントを安定に動かすためには、プロセスの温度を管理することがとても大事です。

 温度計は塔や熱交換器などの温度変化のある場所で使うことが多いです。温度の情報がプロセスの安全性だけでなく、製品の品質も決めてしまいます。温度計が1つ壊れたからといってすぐに危険な反応に到達するわけではないので、運転停止に至らないかもしれませんが、製品品質がNGとなって廃棄する可能性を考えないといけません。温度計の修理のために、生産を止めるという可能性は一応存在します。

 バッチ運転のように反応器で一定時間プロセス液を留めている間は、保管中に暴走反応が進まないか監視する目的で温度計の情報は大事になります。

 温度計は測定原理の性質上、故障する確率が高くはありませんが、起きた時のダメージが大きいというのが問題ですね。

流量計故障で収率が分からない

 流量計が故障すると、生産の成績を示す収率が分からなくなります。プロセス液を混ぜて製品を作る化学プロセスでは、液体の量を示す情報がとても大事です。流量は取扱量だけでなく反応性にも重要な指標となります。

 流量計が故障しても、品質に問題ない製品を作ることは可能かもしれません。液面計などの別の計器で代替しようとしたり、工程分析結果で判断していきます。工程分析や製品分析で問題なければ、品質適合品として出荷判断ができる可能性があるからです。ただし、自動弁と同じ問題で、通常の製造よりも時間をかけた製造となるかもしれません。これが生産量の低下を呼び起こします。

 危険な反応などでインターロックをしっかり組んでいる工程ほど、流量計が故障したらシーケンスを進めることができない場合があります。人が介在しないように強固に組んだプロセスほど、自由度が下がります。

 仮に運転上問題なかったとしても、実際に使用した液量を適正に把握できないと、原価計算が問題になるかもしれません。これは単にコストアップとして処理するだけかもしれないので、生産停止とは違う問題ですが・・・。

重量計故障で得量が分からない

 最終製品を取り出す際の重量計が故障すると、運転できなくなる可能性があります。ドラム缶などの小型サイズなら重量計を複数持っているかもしれませんが、フレコンなどの中型サイズだと重量計を複数持つことはあまりないでしょう。これらの計器は取引秤としてしっかり検定しているので、万が一故障した場合には修理しないと運転ができなくなります。ただし、故障の頻度は高くはありません。大型サイズであればトラックスケールなども対象になりますが、こちらは故障の頻度としてはもっと少ないです。

 流量計の高精度版として、プロセス液の投入時に重量計を使うなら、重量計の故障で運転停止という可能性はあります。流量計と重量計を両方設置しているラインでも、どちらかを正・どちらかを副という扱いになるので、正側が故障した時に副側を正しい値として認めていいか参考値扱いなのかを判定しないといけません。品質に厳しいプロセスほど問題になりえて、最悪は運転停止となります。

参考

最後に

計装トラブルは単なる機器故障ではありません。
それは、生産効率・品質保証・安全確保に直結する問題です。

  • 自動弁は数量低下を招く
  • 温度計は安全と品質に影響する
  • 流量計は収率と制御に関わる
  • 重量計は出荷停止に直結する

計装設備は、静かに劣化していきます。
だからこそ、故障してから対応するのではなく、予防保全と影響評価の視点が重要です。

「計装が止まる=操業が止まる可能性がある」という認識を持つことが、安定運転の第一歩です。

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