化学プラントで流体を流す目的の配管の接続は、フランジ継手を使うのが一般的です。
そこをあえて、ねじ込み継手を使うという場所を作ろうとしたら、どこが適切か考えました。
フランジ継手とねじ込み継手を混在させると、取扱や保全の面では不利になるので、できるだけフランジ継手に統一させる方が好ましいと思っています。
このメリットを捨ててまで、ねじ込み継手を使いますか?という疑問をもって議論をして選定することが理想的です。闇雲にねじ込み継手を選ぶのは、危険な場合があります。
漏れても良い液体(水と空気)
ねじ込み継手は、漏れても良い液体に対してなら使用しても良いでしょう。
漏れても良い液体とは、例えば以下のようなものを指します。
- 水(常温)
- 圧縮空気
これくらいに限定されます。
化学プラントで扱う流体は非常に多いですが、かなりのものが危ないです。
- 温水、スチーム:火傷する
- ブライン:環境に被害を与える
- 危険物:引火爆発する
- 酸、アルカリ:人体や環境に被害を与える
- 排水:環境に影響を与える
漏れても影響のない流体というのは、非常に限定化されています。
ねじ込み継手を使うなら、漏れてもリスクが無い流体や、漏れても影響が出ないように管理された場所で使用するようにしましょう。
例えば、漏れたら困る液体のラインでも、漏れたときに周囲で回収可能なように囲っていたり、早期発見ができる表示をして毎日パトロールをしてチェックしたり、何かしらの対策を求められます。
圧縮空気も漏れたときには、人がケガをする可能性は否定できません。ここでもねじ込み継手はどうなのだろう?と個人的には思っています。
ねじ込み継手だと現場での微妙な位置調整が容易なので、計装エアーの接続には使いやすいです。ただし漏れるリスクがあるので、プラント内を歩いている時は注意しましょう。
エアー配管だから容易に近づいても良い、安易に思い込まないように・・・。
ねじ込み継手では、そういう手間が負担になるため、リスクの少ないフランジ継手を選ぶ方が良いと個人的には考えています。
蛇足ですが、設備メーカーで設備ライン中にねじ込み継手を選定し、後で嫌がるユーザーはいます。
コスト、スペースなど設計上の思想はあるでしょう。それがユーザーにとって最優先事項でないものでも、最優先事項として設計条件にあがっていたりします。
後で追加変更となって設計者や工事担当者は振り回されて大変ですし、運転管理者は運転中も常に一定量ケアしないといけません。
メーカーとユーザーの間の意思疎通を淀みなく行うためにも、ユーザー系のエンジニアは特に気にしておかないといけませんね。
ドラム缶への充填(逆に吸上げも)
ねじ込み継手は、ドラム缶への充填ラインに使う場合があります。
ドラム缶へ充填したり、その逆の吸い上げをする場合、フレキシブルチューブと小さな配管(ノズル)を人が持ち上げる工程が発生します。
この時に、人の作業性を良くするには、軽量化は大事なことです。
ねじ込み継手は、フランジ継手より軽くなるので、このラインに限定して(しかも、人が触る部分だけに限定して)使うことは1つのアイデアです。
ただし、フレキシブルチューブやバルブの一部をねじ込み継手で取り扱わないといけなくなるので、管理が大変になることは意識しましょう。
多くのラインでフランジ接続のフレキシブルチューブやバルブを使っている中で、数点だけはねじ込み継手という結果になります。特にフレキシブルチューブは片側ねじ込み・片側フランジというような特殊性を求められます。
在庫管理の手間が増えて、使用中に壊れたフレキシブルチューブを交換する時には、フランジ継手しか無くてねじ込みを廃棄した、という展開も起こりえます。
ねじ込み継手部分からの漏れのリスクはあがるので、危険な薬液を扱っている時は、常に注意しないといけません。
酸・アルカリや有機薬液でも人に影響が強い液体など、ドラム缶で扱う液体は特殊なものが多いです。人が触れてしまう可能性はあるため、保護具を付けますが作業性が悪化するため簡素化をしたいと思うもの。
漏れのリスクが高いと、保護具の簡素化をしにくくなるので、フランジ継手にした方が総合的には楽になると考えています。
荷重を掛けたくない部品
設備回りで小さな配管を接続する例があります。
例えば、潤滑油や冷却水など、小さな配管を設備の特定の部分に繋ぎこみます。
ここはねじ込み継手が多いです。
このケースでは、大きな部品に小さな配管を接続しますが、配管をフランジ接続にしてしまうと折れてしまう可能性があります。
フランジが重たくて、部品と配管を繋ぐ部分が強くすることが難しいからですね。
単純に溶接するだけだと強度不足。ボスなどの補強材を付けても、使っているうちに劣化する可能性があります。
部品と配管をねじ込み継手にしてしまい、交換前提で取り扱った方が楽になる場合があります。
このケースなら、流す流体が潤滑油で、潤滑油なら漏れても良い液体として扱うプラントの場合は、ねじ込み継手で気にならないでしょう。
場合によっては、潤滑油がプロセス液と接触する設備があり、純粋な潤滑油とならない可能性があるので、設備の構造をしっかり把握して選定しましょう。
参考
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最後に
ねじ込み継手は化学プラントでは非常に使いにくいです。
あえて使うなら、漏れても良い水や空気、軽量化を狙ったドラム缶周り、折れてしまう可能性がある設備回り、くらいに限定しましょう。
漏れのリスクが上がるので、保護具やパトロールなどの別の対策が必要になります。
ねじ込み継手を選ぶ場合は、総合的に考えてあえて選ぶという意識を持っておきたいですね。
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