樹脂配管を化学プラントで使う機会は少ないので、設計の際には意外と困ります。
その典型例が面間。
塩化ビニル配管で直面しやすい問題です。
狭い場所を配管を通そうとして設計するものの、既製品の面間に限界があるために、上手くいかないケースがありました。
しかし、実際には結構な選択肢があります。
今回は自分の勉強の意味も含めて、まとめました。
塩ビ配管の3種類
塩ビ配管は、いくつかの種類があります。
ここでは3種類紹介しましょう。
- 硬質ポリ塩化ビニル管(JIS K 6741)
- 水道用硬質ポリ塩化ビニル管(JIS K 6742)
- 耐熱性硬質ポリ塩化ビニル管(JIS K 6776)
化学プラントの場合、純粋な水に対してだけ考えればいいわけではないですし、寿命をできるだけ上げたいという理由で、硬質ポリ塩化ビニル管を選ぶ可能性が高いです。
フィッティングの面間
塩化ビニル配管のフィッティングの面間をまとめました。
エルボ
フィッティングの代表格のエルボで比較しましょう。
90°エルボ | 硬質 | 水道用 | 耐熱性 | SGP |
40 | 74 | 82 | 74 | 57.2 |
50 | 91 | 95 | 85 | 76.2 |
75 | 140 | – | – | 114.3 |
100 | 178 | – | – | 152.4 |
150 | 250 | – | – | 228.6 |
注)水道用硬質ポリ塩化ビニル管継手と耐熱性硬質ポリ塩化ビニル管継手はエルボ管のみ記載し、ベント菅が記載しない。
塩ビ管の中では、面間の大きな差はありませんね。
金属配管代表のSGPの方が面間が小さく、塩ビ配管の配管設計で困るというのも納得できます。(SGPは80Aを75mm相当として記載しています)
硬質ポリ塩化ビニル管継手は、SGPと同じようにショートタイプのエルボがありますので、狭い所を通したい場合には、有利に働きます。それでも、SGPのショートエルボの方が面間は小さいです。
水道用や耐熱性はそもそも大口径用のエルボがありません。水道管用はベントを使うことになりますが、面間が一気に上がります。
この辺は、化学プラントでは設計しにくい要素の1つとなってしまいますね。
同径チーズ
同径チーズは分岐部の面間を記載します。
同径なので、分岐部も直線部も面間は同じですが。。。
同径チーズ | 硬質 | 水道用 | 耐熱性 | SGP |
40 | 49 | 82 | 75 | 57.2 |
50 | 59 | 96 | 87 | 63.5 |
75 | 88 | 120 | – | 85.7 |
100 | 112 | 152 | – | 104.8 |
150 | 169 | 230 | – | 142.9 |
注)硬質ポリ塩化ビニル管向けの継手(排水用硬質ポリ塩化ビニル管継手)は90°Yの値。
面間は排水用硬質ポリ塩化ビニル管継手が圧倒的に短いです。
小口径だと、SGPよりも短い面間ですね。
これは上手く使えばメリットが出るかもしれません。
排水用の同径チーズは、ショートエルボと同じ程度の面間です。
水道用と耐熱性は、チーズの面間がエルボの面間とほぼ同じですね。
レデューサー
レデューサーについてまとめましょう。
レデューサー | 硬質 | 水道用 | 耐熱性 | SGP |
40/25 | – | 114 | 100 | 63.5 |
50/40 | 67 | 136 | 110 | 76.2 |
75/50 | 90 | 165 | – | 88.9 |
100/75 | 120 | 190 | – | 101.6 |
150/100 | 170 | 295 | – | 139.7 |
レデューサーはインクリーザや径違いソケットと呼ばれています。
面間的には排水用、口径の広さは水道用にメリットがあります。
異径チーズ
異径チーズは分岐部の面間を記載します。
異径チーズ | 硬質 | 水道用 | 耐熱性 | SGP |
40/25 | – | 65 | 65 | 57.2 |
50/40 | 55 | 80 | 80 | 60.3 |
75/50 | 73 | 110 | – | 76.2 |
100/75 | 102 | 132 | – | 98.4 |
150/100 | – | 182 | – | 130.2 |
分岐部の面間は落ちる径の段数の影響を受けます。直管部の面間も同じく、径の段数によって微妙に変わります。
排水用硬質ポリ塩化ビニル管継手は大口径向けにY字菅を準備していますが、今回使いたい用途とは少し違うので、表にはまとめませんでした。
どうしても排水用硬質ポリ塩化ビニル管継手を、現場のガスラインなどに使いたい場合には、大口径向けの大曲がりY管など使うことは可能です。
最初から選択肢を消したくなく、いざという時に閃くようにしたいなら知っておいても良いでしょう。ただし、そういう機会はほぼ無いと思います。
用途ごとの選び方
塩ビ配管をあえて化学プラントで使う場合の、選び方はこれらの口径や面間の比較で分けることができます。
塩化ビニルという耐食性の特徴から、配管を選ぼうとしても意外と難しいです。
化学プラントのように場所の制約が厳しすぎる場合には、やっぱり選ばない方が無難だと思いますね。
参考
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最後に
化学プラントで塩化ビニル管を使う場合には、口径や面間の制約が問題になります。
世間でよく使われる種類と、寸法の比較を行ったうえで、それでも塩化ビニル管を使うべきか他の材質で代用できないか考えると良いでしょう。
設計者としてはとても悩ましいです。
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