【誘引・押込み・平衡】ファン・ブロアーの通風方式と化学工場

ポンプ化学工学

NEONEEETです。

ファン・ブロアーって誘引一択じゃないのですか?

意外といくつかのパターンを使っていますね。

この記事では、ファン・ブロアーの通風方式を解説します。

ファン・ブロアーの通風方式

ファン・ブロアーの通風方式は一般に3パターンあります。

誘引・押込み・平衡

この辺りは、教科書に載っているレベルです。

今回は、実際に化学工場に対してどの方式を採用しているかを解説します。

いったん工場ができてしまうと、新たに増やすことがあまりないのがファン・ブロアー。

設計思想を知らないまま10年くらい過ぎ去ってしまいがちです。

誘引方式が一般的

まずは誘引方式から説明します。

化学工場ではファン・ブロアーは除害装置への排ガスの供給用によく使用します。

化学反応で発生した排ガスは適切に処理しないと、環境破壊や人体に影響を与えますからね。

除害装置としてスプレー塔を使うのが一般的。

他の装置もありますが、液体のスプレーで大半は処理可能です。

ということで、どこの化学プラントにもスプレー塔とファン・ブロアーは集中除害装置のセットとして1基は設置されているでしょう。

化学工場では特に「誘引」方式が普通です。

誘引方式は以下のようなイメージです。

誘引方式はスプレー塔の出口にファン・ブロアーを設置した方式です。

スプレー塔基準で見れば分かりやすいですね。

スプレー塔にガスを吸わせる構成です。

誘引方式を化学工場で使う理由は以下のとおりです。

  1. スプレー塔の中を負圧にして、仮に漏れても大気に拡散させたくない
  2. 腐食性のあるガスでファン・ブロアーにダメージを与えたくない

環境への配慮がやはり大事ですよね。

ファンで吸わせるということは、一般にはスプレー塔は大気圧より低い状態になります。

この前提として、「反応装置の排ガス発生部分が常圧」という条件が付きますが。

バッチ系化学工場だとこれは基本的に満足する条件です。

どうでもいいことかもしれませんが、機電系エンジニアは設備目線で考える癖が強いので、上の1と2の順番を逆に考える傾向が強いです。

設備そのものに目を向けるのも大事ですけど、それだけだと視点が狭くなりがちです。

環境という別の目線でも見れるようになりたいですね^^

押込み方式は誘引方式の逆

押込み方式は誘引方式の逆です。

下のようなイメージです。

誘引方式とはスプレー塔とファン・ブロアーの位置関係が逆ですね。

スプレー塔に向かって排ガスを押込む形になります。

化学工場であまり見ることは無いと、個人的には思っていましたが使うケースはいくつかあります。

  1. スプレー塔への空気の漏れこみが少なく、省エネ
  2. ミストがないドライガスを対象にして、ファン・ブロアーを傷めない

一般的にはこのように言われていますが、個人的には疑問です。

まず、1の空気の漏れこみですが、ファン・ブロアーの静圧(10kPa以下)で気にするレベルではありません。

バッチ系化学工場では、吸込みガス量が安定せずに、空気を余分に吸わせながら運転するのが普通です。

反応装置で吸引するガス量が生産品目でも変動がありつつ、時間に対しても変動があるからですね。

初めから空気の漏れこみを許容しているので、スプレー塔で多少空気が入ってきても気にしないから、押込みのメリットが少なく感じます。

2のミストが無いドライガスですが、これもほぼ非現実的。

個々の反応装置にミストセパレータを付けないと成立しない話です。

フレームアレスタだけでは難しいですよね。

平衡方式は誘引方式と押込み方式の重ね合わせ

平衡方式とは誘引方式と押込み方式を足し合わせたものです。

下のようなイメージです。

このイメージだと、押込みファンと誘引ファンのバランスが取れていないといけませんよね。

押込みファンが強すぎても誘引ファンが強すぎても、スプレー塔内で圧力損失を持ちすぎます。

これはスプレー塔での気液接触効果を減少する方向に動きます。

バッチ系化学工場では、このイメージのような使い方はほとんどしません。

除害装置が複数系列ある場合に、結果的に平衡方式になっているというパターンくらいです。

除害装置をスプレー塔とファン・ブロアーのセットで1系列として考える場合、

工場に1系列の除害装置だけという場合だけでなく、2系列・3系列を使うことがあります。

これは除害装置で処理したいガスの性状が違うから。

酸性ガスアルカリ性ガスではスプレー液が違います。

それぞれに専用の除害装置を使って、直列に接続すると自然と平衡方式になります。

その場合でも、1基のスプレー塔に対して専用の誘引ファンと押込みファンが1基ずつ綺麗に配置するケースはほとんどありません。

  • 一部のガスは系列1→系列2と処理を進め
  • 残りのガスは系列1は通らず、いきなり系列2に進む

こんなケースが多いからです。

平衡方式で問題となる「誘引ファンと押込みファンのバランスの問題」は、バッチ系化学工場では気にしなくて大丈夫、ということですね。

最後に

ファン・ブロアーの通風方式を解説しました。

誘引・押込み・平衡の3パターンです。

化学工場では誘引方式が一般的です。押込みや平衡も一部で使いますが、限定的です。

この記事が皆さんのお役に立てれば嬉しいです。

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