【物質収支・熱収支・原単位】化学工場のプロセス設計におけるバランス設計

工場化学工学

NEONEEETです。

この記事は、化学工場の機電系設計者・プラントエンジニアを対象にしています。

この記事を読むと、化学工場のプロセスのバランス設計について知ることができます。 

バランス設計はプロセス設計の結果

化学工場では各種原料の流れや収支を整理する必要があります。

これをバランス設計と私は勝手に呼んでいます。

物質収支・熱収支・原単位などの個別の表現で読んでいる人もいるでしょう。

これらの資料は、化学工学的な見地を使って整理する必要があり、

設備屋が直接作成することはありません。

利用する側でしょう。

今夏はこれらのバランス設計の意義とその位置づけを紹介します。

化学工場のバランス設計

物質収支

物質収支はマテバラ(material Balance)と呼ぶこともあるでしょう。

私もマテバラという表現で聞くことが多いです。

物質収支は化学プラントの各ポイントにおける物質の量のバランスを示したものです。」

『量』としては、質量流量・体積流量・濃度などの表現方法があります。

反応がない単なる混合なら物質収支は非常に簡単です。

単なる足し算の計算で可能です。

逆に分離は難しく、実験をしたり実設備で運転データを採取する必要があります。

計算で解決することはないでしょう。

頑張ればシミュレーションである程度の精度まで出せますが。

化学工場では「反応」という物質変化があります。

これが物質収支の難しさ。

原料・生成物・副生成物のバランスを調査する必要があります。

物質収支は多変数の四則計算のように見えますが、

化学反応のデータ解析を伴う専門知識が必要です。

ここが、設備屋には無理な場所。

設備屋がフラスコを使った実験をすることはありませんので ^ ^

熱収支

熱収支は、なぜかヒートバランスなどとは呼びませんね。

物質収支と同じく、各ポイントにおける加熱・冷却量をまとめたものです。

蒸発・冷却といった単体の操作だけなら、設備屋でも十分に計算できます。

設備屋が計算できないのは、反応熱

これも化学反応を伴い、実験が必要です。

単なる溶解・混合くらいなら化学便覧等を使えばデータは揃います。

しかし、反応熱となると話は違います。

ある程度は計算できるようですが、実験が必要です。

計算だけでは、実機に投入できません

発熱反応が計算よりも大きくて、冷却量が足りなくて暴走すればおしまいです。

原単位

原単位とは、製品単位重量当たりの原料等の投入量のことです。

原単位は「その製品を作るために投入する資本」という言い方もできます。

1tonの製品を作るために、原料Aを500kg・原料Bを500kg使用する。

これだけで済む話ではありません。

原料全てを製品に変換できるわけではありません。

原単位としては下記の項目を考えます

  • 反応に使用する原料
  • 反応によって発生する副生成物
  • 反応で発生した廃棄物
  • 反応に使用するスチーム・冷却水などのユーティリティ
  • 電気・空気・窒素などのユーティリティ
  • 作業員の労務費
  • 原料ドラムや製品コンテナなどの梱包資材
  • 生産前洗浄、生産後洗浄などの洗浄

製品を作るために直接投入する資本全てが原単位の対象です。

変動費の対象となりうるものが原単位の対象として考えても良いでしょう。

原料やユーティリティと言った観点から、物質収支や熱収支のデータが重要となります。

管理原単位という原単位の管理値をまとめた資料を、生産部は達成する責任があります。

原単位の管理は年間の生産を通じて一括管理するのが基本です。

設備を稼働させる前の洗浄 ~ 生産 ~ 設備を止めるための洗浄

これらを一括管理します。

月ごとに区切って整理しても、限界があります。

月またぎの日のバッチの管理が大変だからです。

「仕掛かり」として処理しますが、ややこしいです。

毎月の締切で問題になるのは、この仕掛かりの問題であることが多いですよ。

管理原単位の設定は工場稼働1年目はかなり難しいでしょう。

物質収支・熱収支の計算通りの原単位として、運転できるわけではありません。

これを2年目には修正原単位として設定して、毎年見直しをしていきます。

生産部の管理者の最大の仕事が、原単位の管理でしょう。

管理原単位通りの運転ができないと、その理由を説明しないといけません。

基礎資料として各種検討に使う

原単位は生産に伴う情報が漏れなく記載されている基礎資料です。

管理部門はこのデータをふんだんに活用します。

  • 経理部は売価決定に
  • 総務部は廃棄物の処理に
  • 調達部は原料や梱包材の購入に
  • プロセス屋は合理化のために

設備屋は相対的に使用する機会が少ないです。

プロセス屋が作る物質収支や熱収支の方が遥かに使います。

最後に

原単位はその考え方自体は簡単ですが、物量の多さが問題です。

建設工事も含めて、化学工場の難しさは物量の多さと言っても過言ではありません。

この記事が皆さんのお役に立てれば嬉しいです。

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