“騒音対策”と化学工場での実際 騒音源/伝搬経路/受音点・ブロアー/冷凍機/攪拌機/遠心分離機

騒音対策保全

“騒音対策”について解説します。

騒音対策というと耳栓。

これで済めばいいのですが、そうとばかりも言っていられない事情が一部の化学工場にはあります。

外の騒音を気にする人のイラスト

騒音規制法

騒音は騒音規制法をベースに考えるのが良いでしょう。

騒音規制法は騒音発生源である工場・建設・自動車などから住民を守るための法律です。

これがなぜ化学工場で影響があるかというと、化学工場が住宅地に近い場所にあるという条件が付きます。

消防法・労働安全衛生法・高圧ガス保安法などで住宅との保安距離を定めるくらいだから、騒音なんて住宅には問題ないだろう。

そう思っていると意外と落とし穴があります。

田舎の工場なら問題になりえます。

騒音の大きさは場所と時間帯で区別されます。

問題になるのは夜間なので、夜間のデータだけ示しましょう。

第1種区域40~45dB
第2種区域40~50dB
第3種区域50~55dB
第4種区域55~65dB

化学工場は第3種区域~第4種区域に立てることになるので、50dBが1つの目安になるでしょう。

夜間は自動車や生活音が少なくちょっとした騒音でも目立つため、昼間より厳しめの値になっています。

50dBというと静かな事務所などでの騒音です。

“騒音対策”の原理

騒音を緩和させようとしたとき、いくつかの方法が考えられます。

距離減衰

騒音対策の基本は距離減衰です。

距離を取れば騒音は低くなります。

というのも音は放射状に放散されるから。

音が持っているエネルギーは\(4πr^2\)の球表面を放射状に発散していきます。

距離減衰は2点間の距離で表現します。

音源から距離r1,r2の位置での騒音S1,S2

$$S_2 – S_1= 20log\frac{r_2}{r_1}$$

という関係式があります。

\(r_2 = 2r_1\)とすると、

$$S_2 – S_1 = 20log2 = 6$$

と距離2倍で6dB下がります。

距離を取ればそれだけで騒音を減衰できますので手軽な方法です。

でも住宅や工場など配置が決まっている場合は、自由な設計要素にはなりません。

機械設備では機器の周り1mで85dBなどの基準を設けることが多いでしょう。

吸音

騒音対策としては吸音がメジャーでしょう、

吸音材です。

建物の壁や屋根の中に張る吸音材。

これは吸音材の中を繊維中を空気が伝搬するときに、空気の抵抗や反射が起こって音が減衰するという効果を狙っています。

これと全く同じ効果が熱としても適用されるので、グラスウールが吸音材でありながら断熱材として使われます。

遮音

騒音対策の1つは遮音です。

吸音とは違います。

遮音はです。

壁で音が反射されるから、壁の向こう側には音が伝わりにくくなるという効果を期待しています。

壁で音が全反射されればいいのですが、そうとばかりも言っていられません。

  • 壁の上を越える回折
  • 壁の振動によって伝わる透過

という要因によって一部の音は遮断できません。

マンションなどでは壁だけでは遮音できないので、吸音材を入れて対策しようというのが基本ですね。

騒音遮断の考え方

騒音対策の基本を分かったうえで、化学工場での対策を紹介します。

騒音源を密閉

騒音の基本は、騒音源を遮断することです。

騒音源そのものを除去することができないという前提ですので、密閉化する方向の対応となります。

騒音源と近接している範囲での密閉化ですので、騒音源そのものの対策とみなします。

装置周りに防音カバーを設置したり、装置に断熱材を巻き付ける形です。

伝達経路を遮断

騒音源から発せられた音は、受音部へ伝達します。

このどこかで遮断するというのが1つの考え方。

化学工場では不燃カーテンを付けるという発想になります。

工場の境界に万代塀を設置する会社も多いでしょう。

地震などで倒壊のリスクがあるので、費用対効果の相談になります。

受音部を遮断

受音部を遮断するということも1つの考え方ですが、近隣住民にそれを強いるわけにはいきません。

工場内部の作業者から騒音クレームが来たら、耳栓を付けるという対応をしますが。。。

化学工場での騒音源

化学工場で騒音が起こりうる設備を紹介します。

ブロアー

化学工場の最大の騒音源はブロアーと言い切って良いです。

それくらいブロアーはうるさいです。

バッチ系ならポンプは小型で騒音源となりにくいですが、ブロアーは大型化しがちです。

排ガス処理設備などで吸引用のブロアーは重宝しますので、騒音源としてメジャーです。

撹拌機

化学工場で大量に使う撹拌機

これも騒音源となります。

でも個人的にはあまり気になった記憶がありません。

いつも聞きすぎて聞きなれているだけかもしれませんね。

工場の外部に設置することが少ないから、気が付きにくいだけかもしれません。

冷凍機

冷凍機も工場では騒音源になります。

でも、一般に壁で囲っていることが多いでしょう。

騒音の問題だけでなく、雨・風やチリ・埃から設備を守るため。

遠心分離機

遠心分離機も同じように騒音源です。

高速で回転するため騒音も大きめです。

これも冷凍機と同じで壁で囲うので問題になりにくいです。

エアノッカー

粉体を貯留するホッパーではエアノッカーなどの閉塞防止機器を付けることがあるでしょう。

これがまた相当うるさいです。

地域住民どころか作業員もうるさいとクレームを出すレベル。

最後に

騒音対策と化学工場での対策例を紹介します。

距離減衰・吸音・遮音という対策の基本と、騒音源・伝搬経路・受音点での対策に分割しています。

工場としては騒音源での吸音・遮音対策が基本となるでしょう。

化学工場ではブロアー・冷凍機など大型機器が騒音源となります。

この記事が皆さんのお役に立てれば嬉しいです。

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