不具合改善。バッチ系化学工場のエンジニアリング失敗例

撹拌プロジェクト

NEONEEETです。 

あー、この配管忘れていた。

この機器使うつもりなかったのに、工事してしまった・・・。

この記事では、バッチ系化学工場のエンジニアリング失敗例について解説します。

バッチ系化学工場のエンジニアリング失敗例

プロジェクトを進めていき現地工事を終わらせ、いざ生産を始めようとすると予想しなかった問題に知直面することがあります。

「想定外」なんて甘い言葉を使うつもりはありませんが、見落としが出るのは確かです。

多少の見落としがあって不具合に気が付いても何とかするのが現場の力ですが、そんなことにならないように準備することも大事です。

エンジニアにとって現場の努力は目に見えにくいですが、その後の不具合改善工事は現場がお手上げと言っているに等しい内容です。

これはエンジニアリングの失敗ととらえて反省すべきです。

ユーザーエンジニアリングでこの反省をちゃんとできている会社は強いでしょうが、そう簡単な話でもありません。

複数のプロジェクトを掛け持つエンジニアは、1つのプロジェクトが終わったらすぐに次のプロジェクトが待っていて、反省する暇すら与えられません。

長期的にはエンジニアリングの技術力が落ちていくジリ貧の環境ですが、目の前のことが大事なのでしょう。

エンジニアの能力が不足していって、ますますトラブルが増えていくことになりますけどね^^

エンジニアリングの失敗を反省会などを開かなくても、不具合要望の内容から推定することは可能です。

私の職場でありがちな不具合要望をまとめてみました。

担当プラント数は10個未満で少ないですが、約15年の内容が詰まっています。

廃油排水処理を忘れがち

廃油排水処理は本当に忘れがちです。

反応工程などメインプロセスは研究段階から綿密に検討されていますが、廃油排水などの工場部門で考える工程は検討が甘いケースが多いです。

  • そもそも処理方法が決まっていない
  • 必要な送液ルートが決まっていない
  • 運転時の不具合があったときの回避配管がない

いずれのケースでもエンジニアに対する注文としては「配管が必要」ということになります。

ヘッダーから枝を出したり、集合配管に接続したり・・・

いろいろな工事をしないといけません。

機電系エンジニア目線でこの問題を考えた時、以下のような言い訳をします。

  • 「プロセスエンジニアから要求された工事だけをすればいい」
  • 「プロセスのことが分からないから、必要な配管を提案できない」
  • 「配管を通す場所がない」

プロジェクト検討段階では忙しくて検討そのものを避けがちですが、生産が始めってから「何とかして欲しい」って緊急依頼を掛けられて慌てることになります。

こんな苦労をするなら最初からちゃんと考えてほしい。自分ならどうするだろうか。

こんな風に思えるエンジニアは向上心があります。

仕方がない。やるしかない。

こんな風に考えるエンジニアはそこで終わりです。反省なんてほとんどしません。

今回の例なら、廃油排水は弱い部分ということが分かっていれば、

  • 配管ルートがちゃんと足りているか
  • ヘッダーを簡単に足すことができる余裕があるか
  • 集合配管に枝を取っているか

というような被害を最小限にする思考をすることが可能です。

循環ラインを忘れがち

バッチ系化学工場の担当者なら「そんなことは無いだろう!」って思うかもしれませんよね。

でもあり得ます。

ミニマムスペックで組んだユニットでは、循環ラインが無い場合があります。

生産ラインが安定していて循環ラインを使わない場合は、その存在そのものを意識しないかも知れませんが、

問題があったときに循環ラインを使おうとして「循環ラインが無かった!」なんてケースを経験しました。

投資をミニマムにした結果の被害ですよね。

何があるか分からないから、ミニマムスペックとして循環ラインを設置しておく

という知見を持つだけでも対策は可能です。

ポンプの型式を間違えがち

ポンプ間違いは機電系エンジニアとしては最もインパクトの大きい失敗です。

液をフィードできないというのは最悪。

さすがにこのケースは多くはありません。

液をフィードできるけど問題がある。こんなケースが多いです。

  1. 流量がちょっと足りない
  2. 詰まる
  3. シール水が邪魔

1番と2番に共通している背景は「スラリー」や「濃度」

スラリーの性状が良く分かっていないのに、今まで使っていたポンプを使った結果として失敗した。

こういうパターンは多いです。

粘度がちょっと高い硫酸などでも水と同じと勝手に考えて、水で設計したポンプを使ってみる。

残念な結果です。

シール水が邪魔というのは、渦巻ポンプやキャンドポンプで登場する問題。

メカニカルシールから漏れたシール水がプロセスに混入して異物となったり収率が下がったりします。

近年増えている問題です。

ストレーナを間違えがち

ストレーナは異物除去の目的で配管ライン中に設置します。

このストレーナの仕様を間違えるケースも多いです。

  • 目開きが過小・過大
  • ストレーナが1個だけで不便
  • ストレーナの取替ができない

目開きの問題は、新製品にありがちです。

〇〇μm以上の異物は除去したい

という品質部門やユーザーの要望に応えようとした結果、過剰なストレーナが付いて「ポンプで送れない」とか「頻繁に詰まる」ということが起こります。

この10年くらいどんどん増えています。

ストレーナを配管ライン中に付けたは良いものの、すぐに詰まるので運転上困るという場合もあります。

バイパスラインがないからです。

ストレーナにバイパスラインと圧力計は割と基本的な構図なのですが、

ラインが複雑になるから嫌

という設計面での懸念でバイパスラインが付かない場合があります。

結果、苦しむのは誰でしょうか。

ということを考えないパターンです。

ストレーナの取替は非常に難しい問題。

ストレーナのハウジングを統一化して、エレメントを同じサイズにすることで、

目開きのバリエーションを増やすことが可能です。

カートリッジフィルターなら仕様の統一化は進んでいますが、バッグフィルターバケットストレーナなどの汎用的なストレーナはまだまだ。

ストレーナなんで何でもいいでしょ。

って考えずに共通化・統一化を進めたいところです。

粉体・スラリー配管を間違えがち

粉体・スラリー配管の間違えは非常に多いです。

  • 粉体投入ラインが垂直になっていない
  • 粉体投入ラインの配管が狭い
  • スラリー配管の水平部が多い
  • 粉体投入ライン・粉体集塵ライン・スラリー配管ラインに点検口がない
  • オープン系で粉体を扱う時に集塵できない
  • 充填作業に時間が掛かる

生産プロセスで取り扱う粉体の性状によってトラブルの内容な頻度は変わります。

パウダー系で粒度が小さい粉体ほどトラブルが起こる確率は高いと思っていますが、ペレットなどで全く問題が起きないというわけでもありません。

この辺は私も勉強中です。

最後に

バッチ系化学工場のエンジニアリング失敗例を解説しました。

廃油排水配管・循環ライン・ポンプ・ストレーナ・粉体スラリー配管が間違えやすいです。

機電系エンジニアの担当範囲に限定されませんが、機電系エンジニアが準備できることは多いです。

エンジニアなら現場の問題を極力少なくするための努力をしたいですね。

この記事が皆さんのお役に立てれば嬉しいです。

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