【安全性・後処理】バッチ系化学工場で水封式真空ポンプが多く使われる理由

ポンプ化学機械

NEONEEETです。

この記事は、化学工場のプロセスエンジニア、機械エンジニアを対象にしています。

この記事を読むと、バッチ系化学工場でなぜ水封式真空ポンプが使われるかを学ぶことができます。

真空運転は5~10kPaくらいが多い

バッチ系化学工場では、真空運転をするといっても5~10kPaまでが90%くらいです。

1kPa以下の運転は数機しか見たことがありません。

20kPaくらいの緩い真空運転も結構あります。

ということで、ターゲットは5~10kPaです。

水封式真空ポンプは安全・後処理が簡単・漏れが無い

水封式真空ポンプの最大のメリットは水を使っているという点にあります。

他の機械式の真空ポンプは全て水を使っていません。

水を使っていると何がいいのでしょうか?

安全

化学工場では安全第一です。

水封式以外の機械式真空ポンプでは潤滑材を全く使わなかったり、油を使ったりします。

真空にする対象設備はかなりの確率で有機溶媒を含みます。

潤滑材を使わない機器を動かすと、締切時などに温度が急上昇する可能性があります。

有機溶媒の温度が急上昇すると燃えます。

水封式の場合は冷却源として使えるので有利です。

油ポンプの場合は、水よりは危険ですが、何もないよりはマシであり、高真空を得られます。

バッチ系化学工場では到達真空圧力が高くないため、水封式でも十分に術用可能であり、安全なので水封式に利があります。

後処理が簡単

水封式は後処理が簡単です。

後処理とは真空ポンプを出た後のガスの処理です。

真空下で処理する対象設備には有機溶媒が含まれています。

これを何も処理せずに大気解放することは、環境保護の観点から許されません。

処理はどうやって行うか?

ガスを液体化して廃液処理します。

廃液処理では普通は、水層と油層に分けて処理します。

水が豊富な日本では、水封式に含まれる水もガスと合わせて処理すれば良い場合が多いです。

水を絶対に嫌ったり、処理できない場合には、水封式は使えません。

油ポンプなら油自体を処理しないといけません。

油もない無潤滑系のポンプでも、排出ガスが高温になっているので、冷却をしないといけません。

そのために水を直接噴霧したり、熱交換器で間接冷却したりしますが、いずれも設備費を増やす方向です。

真空ポンプの手前で水スプレーをして、溶媒分は基本的に液化処理して、水と空気だけを真空ポンプに移送する方法も考えられます。

これは水封式真空ポンプを2段で組んでいるようなものであり、コストが高くなる方向です。

漏れがない

無潤滑系のポンプでは隙間があるため、真空度は高くありません。

何機も設備を直列設置する必要があり、結果として高くなります。

スチームエゼクターはスチーム費用が高い

真空源として水封式真空ポンプはメリットが多いですが、対抗馬としてスチームエゼクターがあります。

私はこの設備が好きではありません。

駆動部が無く堅牢強固な面は非常に魅力的です。

不満なのはスチームを使う事。

スチームは高いです。

スチームを可能な限り少なくすることは、生産競争力を上げるために非常に重要です。

スチームで真空を作り排水を処理しようとした場合には、水をスチームにするためにエネルギーが必要で、排水を冷却するためにエネルギーがさらに必要です。

水封式ならポンプを動かす電気動力は必要ですが、排水の冷却量はあまりおおくありません。

真面目に、ランニングコストを計算すると、かなり面白い結果が出ます。

これを検討するのは機械エンジニアだけですが、真面目に行う人はほとんどいません。


水封式真空ポンプは水を使っているという点で極めて安全です。

これが化学工場では非常に重要です。

この記事が皆さんのお役に立てれば嬉しいです。

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