【ガスケット係数m,最小設計締付圧力y】ガスケットに関するパラメータ

配管配管

NEONEEETです。

この記事は、化学工場の機電系設計者・プラントエンジニアを対象にしています。

この記事を読むと、ガスケット係数と最小設計締付圧力について知ることができます。

ガスケットはバネとは違う

フランジシステムは、フランジ・ボルト・ガスケットで成立します。

ここで、ガスケットはやや特殊な性質を持ちます。

そのため、ガスケットを最初は無視して、フランジ・ボルトに着目する方が分かりやすいです。

ガスケットはその後でも良いでしょう。

フランジとボルトに着目した、以下の記事も参考にしてください。

ガスケット係数や最小設計締付圧力も、その意味や解釈ができる程度の知識は

設備エンジニアとしては持っていた方が良いです。

ということで、今回はガスケット係数と最小設計締付圧力について簡単に解説します。

ガスケットは力学における単純なバネ(f=kx)の関係ではありません。

ここが、単純な力学モデルで考える訓練を積んだ人ほど、陥りやすい罠です。

ガスケット係数mと最小設計締付圧力y

最小設計締付圧力y

ガスケット係数と最小設計締付圧力の2つのどちらが有名かというと、明らかに

ガスケット係数

です。

分かりやすい名前ですからね。

ガスケットが単純なバネモデルではないことを表現するために、「ガスケット係数」という単語を使う機電系設計者・プラントエンジニアも多くいます。

「そのガスケットのガスケット係数はいくら?」

現場レベルで、こういう質問をする人のほとんどは、何となく聞いているだけであり、

その意味をあまり真剣には考えていないでしょう。

ガスケット係数よりも先に、最小設計締付圧が来ます。

これは定義を見れば明らか。

ガスケット係数mは「使用時のボルト荷重を決めるための、ガスケットに加える力」

最小締付圧力yは「ガスケット締付時のボルト荷重を決めるための、ガスケットに加える力」

ガスケットをフランジに挟み、ボルトナットで固定するときに、最小設計締付圧力yが課題になります。

その後、運転のために配管内に圧力をかけたときに、ガスケット係数で議論します。

最小設計締付圧力 → ガスケット係数

この順番です。

最小設計締付圧力は、ガスケットの種類でかなり変わります。

これは後で議論します。

どうでもいいことですが、

ガスケット係数 → 最小設計締付圧力

の順番で理解してしまうのは、JIS B 8265にこの順番で書いているからだという

単純な理由だと思っています。

ガスケット係数m

ガスケット係数は、運転を行うときの

ガスケットに加わる力 / 配管内圧

と考えればいいです。

ガスケット係数と最小設計締付圧だけを見れば、

フランジを徹底的に厚くすれば。配管内圧をどれだけ高くしても、ガスケットは耐えることができる。

こういう勘違いをします。

これはきちんと「許容締付圧力」という概念で定義しています。

バッチ系化学工場のガスケットでは…

ジョイントシートの例

バッチ系化学工場で使用するガスケットを例に紹介しましょう。

ニチアス株式会社のジョイントシートガスケットTombo No.1120のt3を例にします。

最小設計締付圧力y11.0N/mm2
ガスケット係数m2.0
許容締付圧力147.1N/mm2

最小設計締付圧力が11.0 N/mm2ですので、ボルト4本で固定する場合は、

ボルト1本あたり、11.0 / 4 = 2.75 N/mm2の応力を加えないといけません。

ガスケット係数が2.0なので、配管内圧が1.0N/mm2(=1MPa)の場合で、

ガスケットに加わる締め付け力が2.0N/mm2になるということです。

初期のボルトの締付を11.0N/mm2で締め付けている場合に、内圧1.0N/mm2を掛けると

ボルトに掛かる力は、

配管内圧 + ガスケットに加わる締付力

となります。

一般には、初期のボルト締付力(今回は11.0N/mm2)よりも大きくなります。

全てのケースで成立するわけではないので、

  • 初期のボルト締付力
  • 使用時に掛かるボルト締付力

の2つの大小関係を比較するのが、JIS B 8265の手順です。

フランジ厚みを無限に大きくして、ボルトを巨大にしても、

許容締付圧力147.1N/mm2を越えれば、このガスケットは破壊するという意味です。

ガスケット係数mが2.0なので、配管内圧は147.1 / 2 =73.6N/mm2

で破壊するということです。

とはいえ、このガスケットはJIS10k(1MPa)で使うことが多く、73.6N/mm2(73.6MPa)の圧力で使うことはありませんが…。

ガスケット係数・最小設計締付圧力の比較

バッチ系化学工場で使う、ガスケットについて、

ガスケット係数・最小設計締付圧力を比較します。

いずれもニチアス株式会社の公開データです。

種類備考ガスケット係数m最小設計締付圧力y
ジョイントシート0.8mm3.5044.8
1.5mm2.7525.5
3.0mm2.0011.0
PTFE被覆ガスケットA型3.5014.7
ふっ素樹脂ガスケット1.5mm3.2022.5
3.0mm2.5019.6

これらのデータから色々なことが分かります。

厚みが大きいほど、ガスケット係数は低い

同じ内圧に対して、ガスケットが厚いほど締付圧力が小さいです。

ガスケットが厚いほどクッション性がある、と考えて良いでしょう。

バネモデルなら、厚みに関係なく同じ締付圧力になりますが、そうではないのがガスケット。

厚みが大きいほど、最小設計締付圧力は低い

ガスケット係数と同じく、最小設計締付圧力もガスケットの厚みに依存します。

同じ内圧に対して、ガスケットが厚いほど最小締付圧力が小さいです。

弱い力でシールしたい場合には、ガスケットの厚みを大きくするのが鉄則です。

バッチ系化学工場でグラスライニング設備やフッ素樹脂ライニング設備で、この話題が出ます。

PTFE被覆ガスケットは、最小設計締付圧力が低い

PTFE被覆ガスケットは、ふっ素樹脂ガスケットより柔らかいガスケット

と考えて良いでしょう。

メーカーの表現では「なじみやすい」ガスケットです。

最小設計締付圧力の定義からしても、「なじみやすい」という方が適切ですが

現場は現場

柔らかいガスケットと考えていいですw

PTFEは、力を加えればどんどん変形していきます

だから、ふっ素樹脂ガスケットで締めても、ガスケットが変形してなじんでいきますが、

PTFE被覆ガスケットは、PTFEが変形するより先に中芯が変形してシールできてしまう。

ということでしょう。

バッチ系化学工場で、グラスライニング設備やフッ素樹脂ライニング設備に対して、このガスケットを使うのは、

最小設計締付圧力を優先しているからです。

ガスケット係数が高かろうが、問題ありません。

バッチ系化学工場で高圧条件で使用することがなく、

大半は常圧、もしくは減圧下

で使います。

最後に

ガスケット係数の方が有名ですが、バッチ系化学工場では最小設計締付圧力での議論で十分です。

これはガスケット係数の定義を考えれば明らか。

例外は渦巻ガスケットくらいだと思います。

この辺は、今回の議論の応用で対応できるでしょう。

というのも、私は検討した経験がありませんので…。

この記事が皆さんのお役に立てれば嬉しいです。

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