化学工場で手動”分液”を行うための設備構成と使い方を解説 ポンプ/窒素/覗き窓/バルブ

手動分液運転

分液“を化学工場の設備で実現する方法を解説します。

タンク内にある2種類の液(例えば水と油)をそれぞれ分けるための方法です。

反応物の洗浄などの工程のために分液操作を行うことは、特にバッチ系の運転では多いです。

装置の構成や実際に行っていることを見ていきましょう。

分液の基本

まずは分液の基本的な作業を解説します。

便宜的に水と油を分離する作業を考えます。

装置としては以下のような構成が便利です。

分液魔

分液前のタンク内で下層と上層に液が分離しています。

上層が油、下層が水という条件です。

これで1つのポンプを使って、分液をして2つのタンクに送ることを考えましょう。

この分液を行うための設備構成は以下の特徴を持ちます。

  • タンクの底から液を排出する
  • ポンプの吸い込み口に覗き窓を設置
  • ポンプの吐出をヘッダーにして、送り先を分岐

水と油の比重差を利用した、原始的な方法で分液します。

これが最も確実でしょう。

タンク底から液を抜くためには、タンクを少し浮かせた状態で設置してあげるべきです。

そのためにもブラケットなどで支持することが必要です。

直置きにするとタンクノズルの設置がややこしくなります。

下層

分液の最初は下層を送るという作業です。

今回は下層を水として考えましょう。

下層

ポンプを動かして、タンク内の液を送ろうとすると下層の液が最初に送られます。

送り先はポンプヘッダーのバルブの開閉を適切に行いましょう。

この操作1つ間違えるだけで大ごとになるので、分液作業時は開閉確認が特に大事。

現場でヨシ!の指差しを絶対にしましょう。

タンク底のライン中に覗き窓を設置します。

この覗き窓を監視して、色が変わるタイミングでポンプを止めます。

タイミングを間違えてしまうと、水を送るタンクに油が混じってしまいます。

覗き窓を慎重に監視する必要があります。

タンクの液量とポンプの送り速度が分かっているので、ある程度は心積もりもできますが待っている間は不安なものです。

監視機能として液面計流量計や作動すればという条件で導電率計も設置を考えましょう。

送り速度が速すぎると覗き窓での監視を見落とす場合もありますので、吐出バルブを絞って流量を下げるという方法も有効です。

これらの作業を一式自動化している工場もあると思います。

上層

続いて上層を送ります。

上層

下層が適切に送られていれば、ヘッダーのバルブを切り分けるだけです。

液をちゃんと送り終われば安心です。

窒素

分液の基本は上記の通りですが、いくつかの注意点があります。

特に窒素ブローは大事です。

窒素ブロー

窒素ブローは以下の機能があります。

  • ポンプで送れない部分の液を送る
  • 配管のライン洗浄

ポンプは高速で液を送ることのできる素晴らしい設備です。

ですが、液量が少なくなるとポンプは仕事をしなくなってしまい、止めざるをえません。

この時、ライン中には一部の液が残ってしまいます。

分液操作のようにできるだけ液を綺麗に分けたい場合は、この残液も課題になります。

そこで窒素ブローの出番。

ポンプの動力を使わず、窒素の圧力で液を送ります。

ポンプを使わずに窒素ブローだけで送る工場もありますが、窒素の量や圧力など注意すべき点があります。

この辺はプラント思想によるでしょう。

窒素ブローをするときは覗き窓のバルブもこだわるポイントです。

サイトグラス上下

覗き窓の上下にバルブを設置しておき、バルブの開閉をどうするか?が2パターンあります。

左は上のバルブを閉める例、右が下のバルブを閉める例です。

左の場合、覗き窓中に見える上層の油は分液後の水のタンクに送られます。

逆に右の場合は、覗き窓中の下層の水は分液後の油のタンクに送られます。

これは完全にはゼロにできません。混じります。

どちらに送るべきかということはプロセスの特性によって変わるでしょう。

  • 油側がプロセス液で、次のプロセスに水を絶対に入れたくないから、油は少し捨てざるを得ない
  • 油側がプロセス液で、製品量をロスしたくないから少しの水は油側に入っても良い

外から見ると同じにように見えますが、思想によって変わります。

ポンプ分離

分液の基本は1つのポンプで送ることだと思いますが、2つのポンプに分けるという方法もあります。

ポンプ分離

この方法の方がむしろ理解しやすいでしょう。

覗き窓の上下にバルブを付けておき、このバルブの開閉で仕分ける方法です。

  • ポンプが2台必要
  • 液の特性に応じてポンプの型式を使い分けできる

水と油で使用できるポンプの種類が違うという場合も多いでしょう。

配管の材質も分けていきます。

複雑なように見えますが、液の特性に応じた設計ができるのでトラブル時にも意外と役に立ちます。

最後に

バッチ系化学工場の手動分液を行うための設備構成を解説しました。

タンク底からポンプに接続し、覗き窓とバルブを使って送り先を変えます。

窒素ブローや各種計器による精度向上ができたり、ポンプ台数を増やすことで選択肢が増えていきます。

最近では自動化も進んでいるでしょう。

この記事が皆さんのお役に立てれば嬉しいです。

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