“フィルター”と化学工場での役割 カートリッジ・ストレーナー・加圧ろ過機・遠心分離機など広範囲に使う

フィルター概要化学機械

“フィルター”について解説します。

化学工場でフィルターというとプロセス液に対するろ過のことを指します。

フィルターというと色々な分野で使われていて、ピンとこないかも知れませんね。

化学工場的にフィルターに対してどんな考えを持っているかを中心にまとめました。

目的

化学工場のフィルターは、化学工学的には固体を液体や気体から分離する操作のために使います。

例えば以下のような場所で使います。

化学工場でフィルターを使う場所
  • 反応によってプロセス液に発生した異物の除去
  • スラリーからウェットケーキを取り出すろ過
  • 水や窒素などのユーティリティの異物除去

一言でフィルターといっても色々な場所で使いますね。

ろ過精度

フィルターの性能を示す用語はろ過精度です。

ろ過精度には絶対ろ過精度相対ろ過精度の2つがあります。

半導体や医薬などの超高性能のろ過精度が求められる環境ならともかく、バッチ系化学工場程度ならこの2つの違いを明確に意識することはありません。

  • 絶対ろ過精度 ○○μm、99.9%以上
  • 相対ろ過精度 当社比

こんな理解をしています。

絶対ろ過精度

絶対ろ過精度は数値で示した指標です。固形分の粒径に対してフィルターの入口出口でどれだけ除去できたかを示します。

特定の粒径に対して 出口の濃度/入口の濃度で規定します。

フィルターフロー

固形分は一般に粒径に対して濃度分布を持ちます。

全く同じ粒径で揃っていることはありえず、粒径の大小があります。粒度分布と呼びます。

粒度分布

これに対して特定の粒径に着目して、フィルターの前後でどれだけ除去できたかを示す仕様が絶対ろ過精度と考えれば良いです。

除去率は99.9%なのか99.0%なのか、もっと厳しくするかという世界です。

粒度分布的には濃度というのも個数なのか重量なのかで違いがあります。

というのも固形分の密度が一定の場合に、重量=密度×体積(粒径の3乗)の関係があるからです。

粒度分布

この辺の知識はフィルターとしては一般的なものですが、化学工場的にはあまり意識はしません。

結果的にどれだけ除去できたかを分析試験で確認して、問題あるかどうかだけが興味があります。

粒径サイズ

化学工場のフィルター関係で出てくるサイズ感を紹介しましょう。

キーワードは開口率メッシュ数です。

開口率はフィルターの線径と関係があります。

線径

フィルターをミクロに見た時、格子状に組んだものを考えると分かりやすいです。

ここでフィルターの線自体が距離Dの間隔で配置されて線径がdの場合、開口率は

$$ \frac{D-d}{D} $$

で示されます。

メッシュ数も同じような概念ですがもっと簡単で、1インチ当たりの開口の数と考えれば良いです。

例えば私が働く工場では40メッシュという単語を日常的に飛び交います。

40メッシュは1インチ25.4mmに開口が40個あるという意味なので、25.4 / 40 = 0.64mm(640μm)となります。

この世界ではμm(ミクロン)の単位で議論するのが分かりやすいです。

40メッシュは例えばフライヤー用カス揚げ・網戸なども似たようなオーダーがあります。

コロナ関係でマスク・ウイルス・細菌が話題になっていますので、一般的な範囲でサイズを比較しましょう。

N95マスク0.3
ウイルス0.01~0.1
細菌10
粒径オーダー

特に、ウイルスや細菌がフィルターの世界で議論されることに戸惑いを覚える人はいるでしょう。

エンジニアでも知らない人は結構います。

超高性能のフィルターなら菌も除去できます。

機械エンジニアでも滅菌フィルターなんていう定義でフィルターを調達することがありますので、知っておきたいですね。

材質

フィルターの材質は樹脂金属の2種類があります。

樹脂はPP(ポリプロピレン)・ポリエステル・ガラス・フッ素などがあります。

金属はSUS304が一般的。

材質は技術革新が進んでおり、糸巻きタイプなどちょっと前には見なかったものが市販されていますので常にチェックしたいですね。

フィルター機器

化学工場でフィルターを使う機器を紹介しましょう。

カートリッジフィルター

フィルターと言えばカートリッジフィルター

あまりにも有名です。

液体中の固形分をガッチリと除去する目的で、プロセス液ラインに設置します。

カートリッジタイプと同じ扱いでバッグタイプもあり、奥の深い世界です。

ストレーナー

ストレーナもフィルターの一種。

個人的には樹脂系がカートリッジフィルター、金属系がストレーナーと使い分けていますが、必ずしも当てはまりません。

金属フィルターというタイプのカートリッジがあるからです。

ストレーナーは簡易的なフィルターで、水や窒素などの異物除去の目的で使います。

加圧ろ過機

加圧ろ過機はカートリッジフィルターの強力版と考えれば良いでしょう。

面積が大きいことが特徴です。

その代わり設置面積も大きいですが。

カートリッジフィルターは詰まったらすぐに交換洗浄をしないといけず、意外と手間がかかります。

交換頻度を下げるためにはろ過面積を大きく取ればよく、加圧ろ過機の出番です。

遠心分離機

遠心分離機は真剣に固形分を除去したいときに使います。

固形分が製品である時に、スラリーからウェットケーキを取り出すときに使うケースが多いです。

逆に異物である固形分を除去するために遠心分離機を使う場合も稀ですがあります。

大型の装置になるので、プラント内では限られた台数しか設置しないでしょう。

集塵機

集塵機は言葉どおり、固形分の塵を集める機械です。

フィルターとファンを連結させた機構です。

粉体をホッパーに投入したときに舞った粉じんを集めるためなどに使います。

掃除機も原理的には全く同じです。

バグフィルター

大型の粉じん集塵のためにはバグフィルターを使います。

この世界は化学工場ではとても大きな問題を持っています。

乾燥機などウェットケーキをドライケーキに変えるときに発生したガスに固形分が同伴されるので、どこ径分をキャッチするために使います。

機械エンジニアが決める要素が少ない

フィルターは機械エンジニアが決める要素が少ないです。

実験的に性能を決めてしまうから、天から降ってきた仕様をそのまま発注すれば良いという環境になりやすいからです。

でも製造ライン側では真剣に考えて調査します。

主にネットで。

それなら、機械エンジニアにも本来はできること。

生産部が決めるから黙って従えばいいと割り切ってしまうと、楽しみを1つ減らしてしまいます。

そうやって設備の主要仕様を研究開発や現場に決めてもらうようになると、決まった物を買うだけのエンジニアになりがちなので、注意しましょう。

最後に

化学工場で使用するフィルターについて解説しました。

フィルターは主にゴミ取り目的で使います。

絶対/交渉ろ過精度・開口率・メッシュ数などの概念と、化学工場で使う場所としてカートリッジフィルター・ストレーナー・遠心分離機・加圧式ろ過機などがあることを紹介しました。

機械エンジニアはフィルターを機械装置としては軽視されがちですが、プロセス的にはとても大事です。

この記事が皆さんのお役に立てれば嬉しいです。

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