【勾配・断熱】バッチ系化学工場のガス炊き上げラインの配管設計で注意したい要素

配管配管

NEONEEETです。 

ガスラインは断熱さえつけていればOK

他にも意外と考えることがあるのですけど・・・

この記事は、化学工場の機電系設計者・プラントエンジニアを対象にしています。

この記事を読むと、バッチ系化学工場のガス炊き上げラインの配管設で注意したい要素計を知ることができます。

バッチ系化学工場のガス炊き上げラインの配管設計で注意したい要素

バッチ系化学工場のガスラインの配管設計で注意したい要素を紹介します。

冒頭のように「断熱さえつけていればいい」と簡単に考えてしまうエンジニアが多い箇所の1つです。

運転時に物理的にどんなことが起こるのかを想像すれば、

配管設計で必要な要素である「勾配」についてこだわることが可能です。

細かいことにこだわる機械エンジニアなら押さえておきたいポイントですね^^

バッチ系化学工場のガスラインの典型例

バッチ系化学工場のガスラインの典型例をイメージで紹介します。

反応器が1階~2階に配置されていて、熱交換器が屋上に配置されている例です。

モデルを簡単にするため、単蒸留を考えていますが、還流でも発想は同じです。

連続プラントのようにガス発生部分である塔とガス凝縮部分である熱交換器の高さが無いケースとは違います。

ガス発生部分である反応器とガス凝縮部分である熱交換器高さがある

これがバッチ系化学工場のガスラインの特徴です。

ガスライン上の断熱の効果

ガスライン上に断熱を付ける効果を確認しましょう。

断熱とは言葉どおり、の授受を断つためのもの。

断熱がない場合のガスラインは左のように、内部の熱が大気に放熱されます。

ガスラインは普通、大気よりも高い温度で扱います。

減圧下であれば60~80℃、常圧下であれば120℃くらいがバッチ系化学工場の典型パターン。

溶媒の蒸気圧に依存するだけですけどね^^

断熱を付けていないと、放熱によってガスライン中の気体が凝縮して液体に戻ります。

液体は重力に負けて、下に落ちていきます。

これって化学的には「気液接触」を起こしていることと同義なので、

小さな還流

を起こすということと同じ意味を持ちます。

これは運転上は好ましくありません。

単蒸留なら、単に炊き上げエネルギーが増えるだけで省エネに反します。

単蒸留ではなく還流なら

少しでも還流効果を増やすために断熱しない方がいいのでは?

と思うかもしれませんね。

これは基本的にNGです。

というのも季節差で運転条件が変わってしまうから。

1年を通じて安定的に運転をするためには、季節要素はなるべく排除したいもの。

断熱の効果って意外とありますよね。

なお、減圧下で運転するための真空源として水封式真空ポンプやエゼクターがありますが、それも記載は省略しています。

ガスラインの配管勾配

断熱の効果を知ったうえで、ガスラインの配管設計でも大事な勾配について考えましょう。

具体的には以下のイメージになります。

勾配は2か所で発生します。

  • 反応器から立ち上げ配管まで
  • 立ち上がった配管から熱交換器まで

反応器から立ち上げ配管まで

反応器から立ち上げ配管までには、ほぼ必ずといっていいほど「水平ライン」が存在します。

極めて重要で水平ラインをゼロにしたいという場合は、垂直に立ち上げることも可能ですが、そこまでの要求は基本的にありません。

というのも、垂直に配管を立ち上げてしまうと、反応器上階のスペースを潰してしまうからです。

新たな設備を設置するスペースを圧迫させるほどの価値が、ガスラインにはないということですね。

なお、連続プラントの塔の場合は、その要求が高いから細長で縦に長い構造になっています。

立ち上げ配管は反応器を回避するように、プラントの外周側から立ち上げます。

ここで水平部ができます。

水平部の勾配は、反応器に戻すように付けないといけません。

逆の勾配を付けてしまうと、液が溜まってしまいます。

ガスの通り道を圧迫させたり、反応器が圧力を持つ要素ともなります。危険です。

ここは絶対に断熱を付けます

立ち上がった配管から熱交換器まで

立ち上がった配管を熱交換器まで引き込むときにも「水平部」はできます。

ここは個人的には断熱は不要です

というのは、放熱の効果が期待できて、熱交換器の能力余裕を生むことになるからです。

工場の冷却ユーティリティはできるだけ余裕を持たせたいもの。

熱交換器での冷却負荷を下げる方向に作用するので、断熱は無い方が好ましいです。

季節差が出るから断熱を付けた方が良いのでは?

という疑問が出るのは当然。

ここでは、冷却ユーティリティの能力自体が季節差が出るので、その差を埋める方向に働く、

と解釈しています。

冷却ユーティリティとして最初に登場するのが冷却塔。

冷却塔は大気の温度・湿度の影響を直接受けます。

夏場だと冷却効果は下がります。

比較的暖かい水が熱交換器に入り、熱交換器での凝縮能力を下げる方向に動きます。

配管に断熱を付けてしまうと、熱交換器の負荷を増やすので、季節差を増長させる側に働きます。

とはいえ、断熱を付けないと熱い配管が露出されていて「危ない」という意見があることも確か。

この辺は工場の思想に依ります。

個人的には「危険表示」をすることで配管に断熱を付けたくないのですが、それだけで安全性を確保できるわけでなく・・・難しいところです。

最後に

バッチ系化学工場のガス炊き上げラインの配管設計で注意したい要素を紹介しました。

バッチ系化学工場のガスラインの典型例をもとに、断熱の効果と勾配の付け方を紹介しています。

P&IDに書ききれずに、配管図で正しく反映されにくい内容です。

思想を理解して、配管図を正しく作れるようになりたいですね。

この記事が皆さんのお役に立てれば嬉しいです。

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