反応撹拌槽向けサイクロ減速機の日常メンテナンス方法

サイクロ減速機保全

サイクロ減速機のメンテナンス上の注意点について説明します。

サイクロ減速機は化学プラントで非常に多く使います。

撹拌槽など回転数を落として動かしたい機器に使います。

あらゆる動機器は壊れることを想定していますが、特にサイクロ減速機は重要度を上げておきたい機器です。

メンテナンスの基本は五感による日常点検です。

DXによって多少進化してくる可能性がある分野ですが、それもまだ先の話。

化学プラントのメンテナンスの中でも動機器の種類は少なく大半が静機器です。

動機器は、モーターと減速機くらいに集約されます。

その意味で減速機はメンテナンスの主要部品と考えても良いでしょう。

五感に頼るメンテナンスの代表例としてサイクロ減速機について解説します。

目で見る管理

五感の中でもメンテナンス上重要な要素は目で見る部分。

減速機の場合は潤滑油にほぼ限定されますが、とても大事な管理指標です。

サイクロ減速機の潤滑油はグリースではなくオイルが一般的。

オイルゲージ

潤滑油の管理はオイルゲージで行います。

油面計というタイプのアナログなシステムです。

オイルがどこまで入っているか目で見て管理できるように、減速機の外にガラス配管が付いていて油面を管理できます。

実は見にくい

オイルゲージでの油面管理は実は難しいです。

オイルゲージにゲージ線が付いてあって、そこまで潤滑油を入れればOK。

これを毎日のパトロールで見ればいいわけです。

何となく簡単そうに見えますよね。

でも結構辛いです。

というののも、2つの理由があって

  • 減速機が高い位置にあって距離がありすぎて見えない
  • オイルゲージが汚れていて見えない

という課題があります。

古い減速機だとオイルゲージが汚れきっていて、本当は空だったのに油面があるように見えてしまうものもあります。

そういう機械を動かしてしまうと、あっという間に壊れることもあります。

定期的に更油

潤滑油は定期的に入れ替えないといけません。

更油と言います。

特に使い始めたばかりのころは、半年~1年で更油が求められます。

これは減速機の部品が運転条件になじんでいないから。

運転負荷に対して、部品が徐々に削れて行って最適な状態になじむまでに、半年程度必要です。

500時間の運転で交換という良い方もするでしょう。

適切に守っている例はあまり見たことがありませんが・・・。

電流値

減速機は動機器なので電流値が管理指標になりえます。

負荷対象の量や回転数に応じて電流値が左右されることはあっても、劣化の診断としては使いにくいです。

多少劣化したからと言って電流値が大きく変わるわけでは無いので。

耳で聞く管理

サイクロ減速機では音に敏感になりましょう。

人間の耳の機能は優れています。

特定の音のみをキャッチする能力が優れています。

潤滑油を目で見るときのような制約はほとんどなく、多少離れた場所でも耳で異音をキャッチできます。

いつもと何か違う音がするということが気づければパトロールとして及第点。

異常を一番最初に気が付く手段は異音でしょう。

音が少ししたら要注意ですが、敏感になりすぎる必要はありません。

サイクロ減速機はかなり頑丈なので、多少は持ちますよ^^

とはいえ、急に変な音がしだすこともあるので、異音の種類によります。

触って管理

サイクロ減速機を触って管理する方法があります。

触るとは手を使うイメージですが、実際にはちょっと違います。

温度管理

減速機の温度を管理することがあります。

手で触ってかなり熱ければ異常

理論的にはこの通りですが、実際に手で触ることはしないでしょう。

温度計を使えば十分ですからね。

温度計も10年前は棒状温度計を粘土で付けて測っていましたが、さすがに赤外線放射温度計を使うようになっています。

温度を測定する機会はあまりなく、異音を察知してから温度も見てみようという気になるのが普通です。

振動管理

運転時の減速機の振動を測る場合があります。

これは運転状況によって左右される割合が多いので、あまり重要ではありません。

管理しようと思えば、接触式の振動計を使えば良いでしょう。

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最後に

サイクロ減速機のメンテナンス上の注意点について紹介しました。

潤滑油を目で管理・異音を耳で管理・温度を手で管理

当たり前のように見えますが、大事なことです。

定期的な管理をしていればかなり長い間使える機械です。

メンテンナンスは機械設備設計エンジニアが苦手としがちですが、かんたんですよ。

この記事が皆さんのお役に立てれば嬉しいです。

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