【研究・設計・建設・運転】化学工場のプロジェクトの流れを紹介

工場プロジェクト

NEONEEETです。

この記事は、化学工場の機電系設計者・プラントエンジニアを対象にしています。

この記事を読むと、化学工場のプロジェクトの流れについて知ることができます。

化学工場でプロジェクトは多い

プロジェクトという言葉が一般化されていますが、

化学工場でもプロジェクトという表現を昔から使っています。

化学工場でのプロジェクトという単語は以下のようなケースに使います。

  • 新規製品開発
  • 新規プロセス開発
  • 新技術導入
  • 既存製品の増強

これらは業績拡大・競争力向上を目的とした資本の投入を伴います。

多くの資本を投資して、メリットを享受するというのが普通のプロジェクト。

1億を越える投資も珍しくありません。

今回は化学工場におけるプロジェクトの大まかな流れを紹介します。

プロジェクトとしては他にも細かいケースはいくつかあります。

例えば既存製品の新規グレード開発、既存製品の4M変更など。

プロジェクトはその会社にとって非常に重要です。

メリット以外を目的とする投資として、環境対策・安全対策・法対応などもありますが、

これもプロジェクトという側面が薄いので、今回は省略します。

化学工場のプロジェクトの流れ

研究

新規製品や新規プロセスの開発を行うなら、研究は必須です。

未知の化学反応を使ったプロセスを商業運転に持ち込むためには、

合理的な反応条件を探索するために研究を行います。

新技術導入の場合は、研究をしない場合もあります。

最近ではDX関係がこれに該当します。

工場内にカメラを設置するなどのケースですね。

既存製品の増強も、研究を含めないケースが割とあります。

増強に化学反応の変化を伴う場合は、研究対象となりえますが、

単に設備を増強して生産能力を増強するという場合の方が、はるかに多いからです。

研究を行っても、実現に結びつくまでには、非常に長い時間がかかります。

10年は覚悟しないといけないでしょう。

化学研究者1人の目線で考えると、一生に数個しかヒットさせられないということですね。

  • 大学に入るまでに受験勉強を潜り抜け
  • 博士課程まで時間を掛けて努力をして、
  • 就職活動でも高い競争率を勝ち抜いた結果
  • ヒットするかどうか分からない研究に身を捧げ、
  • それでもヒットするかどうかわからない。
  • これで失敗したら、工場に左遷されますからね。

化学研究者の一生ってかなりギャンブル性が高くて勇気があるなーって

個人的には思います ^ ^

FS

必要なプロセスの概要を決定する段階がFSです。

FSレベルではマテバラなどの物質収支や、略フローなどの資料を作りながら検討します。

ここで、投資額がおおよそ決まります。

設備エンジニアもこのFSに参画するケースはあります。

設備価格の実績を報告するためですね。

ラング係数で概算価格を算出するためには、設備価格が重要な要素となるからです。

意志決定

意志決定では投資額とメリットの比較を行います。

ROIなどの指標を使って投資判断を行います。

投資の面だけでなくて、環境・安全面などの総合的な視点で判断します。

安全に関する物質データが不足しているから、データを採取するまで投資を認めない。

などというケースも普通にあります。

設計

投資を決定すれば、設計段階に入ります。

プロセスの合理的な条件探索を行いつつ、各種設備の仕様決定も行います。

教科書的には、プロセス開発が完了した後で設備設計を行います

プロセス開発 → 設備設計

こんな風にきれいに分割されるべきです。

ところが、現在ではコンカレントエンジニアリングが普通です。

プロセス開発と設備設計が並行して行われます。

設計と調達に関しても同じようにコンカレント的に行われます。

工事すらもコンカレントに行う場合もありますが、それは結構リスキーな状態です。

超大型プラント建設工事なので、工事期間が1年などの長期間にわたる場合はコンカレントに処理するのもOKですが、

日本の化学工場のプロジェクトレベルでは2~3か月が関の山。

「工事終盤に物がギリギリ納入されればいい」という考えでは痛い目を見ます。

デスロード状態となります ^ ^

工事

設計→調達と進んで準備ができたら、いよいよ工事に入ります。

  • 日々の安全パトロール
  • 手直し工事の対応
  • 施工品質のチェック
  • 配管チェック
  • 工事の進捗管理

この辺りが、発注者の業務となります。

試運転・商業運転

工事が完了したら、いよいよ試運転に入ります。

  • 機器単体の試運転
  • 配管の気密試験
  • 計器のパラメータ調整
  • 系統全体の水運転

これらを行った後に、実液投入に入ります。

バッチ系化学工場の試運転では、1バッチ目はゆっくり行います。

商業運転では複数の反応を複数の反応器で、同時処理しますが、

試運転では1つの反応を1つの反応器で、1つだけ処理します。

1日1バッチで5日で回るプロセスを例に、商業運転と試運転の違いを見ていきましょう。

試運転では以下のような感じで運転します。

1日2日3日4日5日
A工程1B
B工程1B
C工程1B
D工程1B
E工程1B

1つの反応を1つの反応器で1つだけ処理します。

これに対して商業運転は、以下のとおり

1日2日3日4日5日
A工程1B2B3B4B5B
B工程1B2B3B4B
C工程1B2B3B
D工程1B2B
E工程1B

反応器視点では、毎日同じ決まった反応を行いますが、

同時並行処理していることがポイントです。

試運転と商業運転の境目は結構難しく、

運転員レベルでは全く意識しない場合もあるでしょう。

最後に

プロジェクトと言っても、仕事の流れはほぼ固定化されています。

同じ会社で同じ事務所にいるメンバーなら、仕事の仕方もほぼ均一化されていて

大きな問題になることはありません。

事務所が違って考え方が違ったり、新しい人が入ってきて何も知らないまま周囲に迷惑を掛けたり

こういう外乱要素が比較的少ないのが、化学工場のプロジェクトです。

超大型プロジェクトになると、話は全然違いますけどね。

この記事が皆さんのお役に立てれば嬉しいです。

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