【設計思想】遠心ポンプの仕様条件は使用条件より余裕を持たせる

ポンプ運転

NEONEEETです。

この記事は、化学工場の機電系設計者・プラントエンジニアを対象にしています。

この記事を読むと、遠心ポンプを購入するときにどれだけ余裕を持たせるかを学ぶことができます。

流量

流量の決定根拠は大きく2つに分かれます。

  1. 反応で絶対に死守すべき流量
  2. おおよそ確保すればいい流量

どちらのケースでも、必要な流量を真面目に計算すると千差万別になります。

その千差万別の流量に、ポンプの仕様を固定してしまうと汎用性が無くなります。

標準流量として、数パターンから10パターンくらいを定めておき、計算結果より大きいパターンの流量を仕様流量とする方法です。

100L/min,200L/min…というパターン分けをしていて、計算結果が150L/minなら、仕様流量を200L/minにします。

これで90%以上のポンプを統一パターンの中に割り当てることができ、残り10%を個別に考えることができます。

仕様流量が必要流量より多い時の運転制御

仕様流量が必要流量より小さい場合は、能力不足なので論外です。

仕様流量と必要流量が同一であれば、運転制御は簡単に見えますが、機種統一ができません。

さらに、このケースではポンプの経年劣化を考えていないので、長期運転をしていくうちに、仕様流量が必要流量を下回ることになります。

したがって、仕様流量は必要流量より大きくしなければいけません。

それが上述のパターン分けの思想です。

では、実際の運転では、過剰能力のポンプをどうやって制御するでしょうか?

特に1のケースの「絶対に必要な量」を送る場合が大事です。

  • 循環をしながら送液する
  • 流量調整弁でPIC制御を掛ける

こういう方法で、過剰能力のポンプを使って、必要流量を送ろうとします。

揚程

揚程の余裕は、下記の2つに分けて考えます。

  • 吸込側条件
  • 吐出側条件

吸込側条件

吸込側条件は、ポンプより高い位置から押し出すケースと、ポンプより低い位置が吸い込むケースがあります。

押し出すケース

バッチ系化学工場では、ほとんど押し出すケースです。

押し出すケースでは、ポンプ吸込部ですでに液体の静圧分が掛かっていて、ポンプ吐出部の圧力は高くなります。

吸込側圧力 + ポンプ揚程 = 吐出側圧力

ここで吸込側圧力=0として吐出側圧力を決めて、圧損計算結果が満足すれば、吸込側圧力分だけ余裕を持つことができます。

タンク液面が高い時には、タンク液面-ポンプの高さ分だけ静圧が加わりますが、液面が低くなると限りなく0に近づきます。

その運転条件の変動を考慮するときに、一番安全な側で設計することが大事です。

吸い込むケース

吸い込むケースでも、基本的な思想は同じです。

吸込側圧力=0とするのではなく、吸込側末端部とポンプの高さを、設定値にします。

吸込側末端部がポンプより5m低い位置にあれば、吸込側圧力 = -5mとします。

実際の運転時にはタンク液面は吸込側末端部よりも2m・3mの位置にあり、余裕があるはずですが、運転状況によって変動するのが普通なので、それは考慮に入れません。

吐出側条件

吐出側条件は、ほとんどが配管摩擦損失計算の余裕になります。

これも流量の計算と同じで、揚程も数パターンに分けます。

私の会社では5m毎のパターン化をしています。

物性

バッチ系化学工場では、有機溶媒を使うことが多いです。

有機溶媒のほとんどは水より軽いです。

有機溶媒のほとんどは水より粘度が高いです。

化学装置の設計上は、1000kg/m3、10mPa・s程度くらいまでは大きな差がありません。

個別の有機溶媒の値を素直に仕様とするよりは、 1000kg/m3以下、10mPa・s以下なら、 1000kg/m3、10mPa・sで提示しておけば安心です。

バッチ系化学工場では、1000kg/m3以上・10mPa・s以上であれば、個別に計算検討するという方法を取れば、70~80%くらいはパターン化できると思います。

最後に

流量・揚程・物性いずれもパターン化して、そのパターンに割り当てることで、無数の設備を統一化して、設計・保全・運転いずれも楽になります。

この記事が皆さんのお役に立てれば嬉しいです。

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